企業法務マン迷走記2

 大船ならぬ「酔っぱらった船」に乗ったかのような企業法務担当者の日常

書籍など


拾い読み 「働き方」?「働かせ方」?改革について 

 投資ファンド傘下の急ごしらえ持株会社でIPOに取り組んでいたときのこと。企業再編の結果、複数の就業規則が並存している時期でした。主幹事証券からは、企業再編を行った企業ではよくあることでそのこと自体はリスクとはいえない、問題は管理職が自部門のメンバーがどの就業規則に則って業務に従事しているのか管理できているか、そちらがリスクだという指摘を受けました。(もちろん、就業規則統合の計画は必要)当時から7年近くの時間が経過していますが「働き方改革」で再び同じ課題に直面するのかと嘆息しています。

 ①てんこ盛りのビジネス法務2018年2月号のメイン特集「働き方改革法案要綱の全容を解く」
 ②少し前に発売のジュリスト#1513(2017年12月号)特集「働き方改革の実現に向けて」



 ①は経営側の法律事務所の弁護士の寄稿が目立つ(当然といえばそうか)一方、②は冒頭の鼎談は労働者側の弁護士が入ってのものですが、個人的には、日本を代表する小売・外食業、人材派遣業と労働組合の実務担当者による座談会記事「働き方改革と人事管理のこれから」を読み込みました。ジュリストを企業の人事労務担当者が読むかというと少し疑問ですし学生が読んでも今ひとつという気がするのですが、企業実務担当者が自社の取組の現状や課題などを明らかにされています。労務業務に関わっていない法務担当者でもわかりやすい内容ではないかと思います。
 キャッチフレーズに踊らされそうな「働き方改革」ではありますが、実際は人事、労務と重要な経営事項を見直しですから、この機にきちんと見直さないと採用はおろか人材の定着も危うくなるのではないかと思います。
 しかし「とはいえ」という部分がやはりあります。冒頭の話ではありませんが、現場を預かる管理職の管理業務がリスクを生む可能性があります。従業員の雇用契約態様や条件の確認、勤怠など現場管理職の管理業務を軽減する仕組みができていなければ整備しなければならないのでしょうが、例えば勤怠管理などの情報システムの投資は簡単なものではないので諸々余裕のない企業にとっては負荷がかかる「改革」になりますね。
 
 時間外労働については某所でも呟いたことがあるのですが単独の企業の取組だけでは限界があるように思います。需要家、発注者から最終の受注者まで業界の上流から下流まで一貫して取り組まないと結局、時間外労働の付け替えに過ぎなくなってしまいます。勤務先の場合、需要家・発注者が建設業界です。時間外労働上限規制に関して「適用猶予」がつく業界ですので、これに引きずられることを懸念しています。

 今のままで良いわけではないのですが、「改革」は痛みを伴うものと納得するよりないということでしょうかね。


 

 
 


拾い読み Business Law Journal 2018年2月号

 明けきりましたね。本年もよろしくお願い申し上げます。

 BLJの2月号といえば、恒例の「法務のためのブックガイド」。
「今年購読した書籍を持ち込んで座談会しませんか」ぐらいでスタートしたときいているのですが、続きますね。継続はなんとやらです。
 今年は、企業法務5名の覆面座談、弁護士4名、企業6社、研究者1名、ブロガー1名の構成。毎年、座談会のメンバーはあの人?という声がちらほらあるのですが、カット&ペーストの入った座談会記事ですから詮索はあまり意味ないかなという感じ。

 民法改正やらなんとかテック中心のチョイスかと一瞬思いましたが、やはり幅広い分野の書籍が挙げられていて毎年のことながら感嘆します。今年はいつも以上に購読・積読した書籍が選ばれていましたので、自分もようやく世間の企業法務に追いついてきたかと思ったりして。(甘い!)
 もっとも、座談は座談、書評は書評に過ぎず、自分と異なる評があって当たり前。読み手自身の能力・経験、身を置いている状況によって評価は変わるもの。ブックガイドはあくまで「そんな読み方もあるのか、できるのか」ということを知る「目安」なのですよね。
 自分の場合、「藁にもすがる」という感じで書籍を購入してきたところがあります。さすがに表紙買いはありませんが、「帯」「目次」「気になる項目の立ち読み」で勢いで買うというもの。法律書籍は単価が張るので外した場合の痛手は大きいことは確か。しかし「外した」といっても購入時点の己のレベルに起因することもあるかもしれないので時には読み返すよう心がけてはいます。
 積ん読プラス新刊で今年は何冊読めるかそのうち本当に身につけられるのはどのくらいなのか、老眼の進む眼球と記憶媒体の容量目減りの激しい脳みそが耐えられるでしょうか。

 「不祥事の解剖学」は「東芝不正会計事件と経営悪化」を5回に渡る特別連載。その1回目。
未だ同社が「不適切会計問題」としている事件を「不正会計」「極めて悪質な態様」とバッサリ斬りスタートしました。会計系の参考書と照らし合わせながら読み進めたいですね。

年明け取り急ぎ。思いついたらエントリー立てます。




とリンクを貼ったところで、中古価格がエライことになっていますね。


 

拾い読み ビジネス法務 2018年1月号

 東京といえども多摩地方は都内より気温が低いので冷えます。

 ビジ法2018年1月号は「法務組織・キャリアの在り方」。
リーガルテックやらインハウスローヤーやら情報が行き交うなか、ぼんやりと不安に陥る法務担当者の心を捉えるキャッチーな特集ですね。
 法学部出身かどうかは別にして入社以来法務畑を歩いている担当者を対象にした本文と、企業法務を志す学生・若者を対象にしたコラムで構成されています。
 西田弁護士の稿は「生涯法務」というのが前提。年齢的には「円熟期」手前、法務キャリアとしては「修行期」を抜け出したぐらいの年数、こなしてきた仕事は特殊な応用編中心のような自分は「はて、どうしたものか」と思います。何がどう評価されるのか見当がつきません。読んでいてかえって不安に陥りますね。
 一方でこんなことも。先日世間話をした転職エージェントは「若い人にキャリアパスの弊害がでてきて」とこぼしていました。「3年勤めて自分の目標と異なっていたので、とかここでは3年と決めていたので、と簡単にやめてしまうんですよ。どうみても転職できるような実績がついていないのに。」
 自分でよく考えましょうね、ということでこの記事はいいか。

 新連載の「契約が決算書に与える影響」
このあたりがビジ法本来の強みが出せる記事だと思いますね。連載中の「法務部員のための税務知識」と合わせ読むとよいでしょうね。
 今回は財務との連携ですが、個人的には通常の売買契約ではあまりありませんが特別な金額の支払い・受け取り(損害賠償金など)の場合は必ず財務に確認しますし、取締役会の付議事項でも場合によっては財務に先に確認し資料の見直しを行うこともあります。
もっともこれは監査法人による決算監査でけっこう苦しんだ経験からくるもので、得意げに話すものではありません。

 特集2「取引先・協力先中小企業の事業承継対策」
 数年前「会社法務AtoZ」で中小企業を対象にした事業承継を連載していましたが、今回は大手企業による、というもの。協力会社や下請事業者の経営難や後継難はちらほらと耳に入ってきています。むざむざと倒産、廃業させるわけにはいかないのですが、事業承継と優良な協力先企業の囲い込みは表裏一体、自社の経営だけで息が切れている企業では協力先の対策も後手に回り、その結果自社の経営難を招くだろうと寒気が襲ってきました。

 「自動運転社会の法制度設計」まで手が回りませんでした。いずれまた。 



 
 *このエントリーはポエムです。健康のため、ポエムの読みすぎには注意しましょう。

 

拾い読み Business Law Journal 2018年1月号


 BLJ2018年1月号から。
 独禁法の道標3「事業者団体の参加者におけるコンプライアンス」
 個人的に非常に思うことある記事で、というのはよろず諸々の業務についている中で事業者団体の消費者関連の分科会のメンバーというのがあるからです。共同リコールの経験を通じて、消費者関連の問題について業界中位からちょっと下あたりをうろうろしている企業が単独でなんとかできるものではないというのが実感としてあります。時の上司には承諾を得て「渉外の顔」で参加しているのですが、常に「自戒」の意識を抱えていることはいうまでもありません。(いくらその意識を抱えたところで自己矛盾の文字はつきまとうかもしれませんが)まあ、担当を変わればよいことではあるのですがね。


 実務解説「NTT東日本対旭川医大事件」
 自社はユーザーの立場です。とある事情からこの判決は非常に重い気分で受け止めました。早速この記事は早速直接ベンダーの窓口となるIT部門に読んでもらうことにしました。そして、さらにはシステムやら何やら需要家である社内の事業部門、管理部門にも展開するのがモアベターというか、しておくべきだと考えています。

 業務システム等を外部ベンダーに委託する企業がほとんどと思いますが、ベンダーの窓口になるのは社内のIT部門といったところでしょうか。社内すべての人間がシステム開発というものに通じているわけではありませんし、特に中高年以上の幹部社員にITリテラシーを期待しても限界があります。自部門の業務状況も把握できないまま、システム化さえすれば万事OKと思っているレベルの人間もいるでしょう。これはシステム開発の決裁が下りた後には「あとは頼む」とIT部門に「丸投げ」というケースですね。
 一方、社内IT部門が会社のビジネス(製品、役務にとどまらず、商習慣、社内業務のウラオモテ、自社の担当者の業務スキルなど)に通じているとは限りません。「あとは頼む」といわれても本来の「需要家」である事業部門や管理部門から具体的なオーダーが示されなけば「要件」すらまとまりません。
同じ請負形態である建築の世界だと「基本設計」「仕様書」「特記仕様書」などは(設計者に委託するとはいえ)発注主から提示するものですが、要件定義作成も請負業務に含まれるITシステムの世界ではどうなのだろうと思ってはいたのですが、今般の「ユーザーの協力義務違反」の判例で今後風向きが変わるかもしれません。

 システムの業務発注契約にどこまで法務が関与できるかというところですが、業務委託契約書の作成なりレビューまででよしとするのか、その後のプロジェクトまで関与し少なくとも要件定義書まで関与すべきなのか、というところ。
 民法改正を真面目にフォローしていない身でいうのもなんですが、システム開発委託において「契約の内容」とは「要件定義書」が「本丸」ではないかと。そうであれば、IT企業ではない企業の法務担当者もある水準まではシステム系のことも理解しておく必要があると思ったのでした。
 





 


 
 

いまさらですがビジネス法務2017年12月号(2)

 前回、タイトルにうっかり(1)と付けてあるから(2)を上げておかないとまずいよね、と思っているうちに、2018年1月号が発売されてしまいどうしようもなく間抜けなエントリになってしまいました。

 特集1「社内規定の立案・改定 条文作成の技法」
 最小人数体制法務で手が回らなくっている仕事のひとつに、会社規則の改定作業があります。
規則の全部を法務が作成するわけではありませんが、法改正だけでなく組織改正に伴う主管部署や責任者の所属変更などが頻繁に行われるともう追いつかない。
 十数年前の分社の際に当時の親会社の規則から移植したもの、上場準備に合わせて急ごしらえしたもの、今の親会社の規則と整合させたもの、まあなんと短期間にいろいろな背景を持つ規則が混在することやら。親会社の監査室からは「少し規則が多いんじゃないか。規則間の矛盾はないだろうね?」と心配される始末。
 規則の構造、書式、フォント、規則改定の決裁手続き等はほぼほぼ整備しているので、あとは実務を進めるのみなのですが。
 自分が抱えている社内規定の問題は、条文作成の技術云々ではないことを改めて認識させてくれた特集でありました。
 
 「自動運転社会の法制度設計(上)」
「やっちゃえなんとか」と自動運転車のCMが流れる時代に6速マニュアルで小排気量車を走らせています。自動運転の何が楽しいのだろうと今は思っていますが、いつまで自分で運転することができるのでしょうか。そんな気分で座談会記事を読み進めているのですが…
 勤務先では営業担当者全員が営業車を乗り回しているのですが、毎月のように数件自動車事故が発生しています。加害事故と被害事故が半々というところでしょうか。自家用車はともかく、会社の営業車両などはできるものなら即刻自動運転車にしたいと思いますね。とはいえ自動運転車だからといって完全に無事故になるわけではないし、公用車である以上事故や故障がある場合の会社の責任、車両メーカーの責任、あるいはソフトウェア会社の責任、そして保険というものがどのようなものになっていくのか。この点は公用車を抱えている企業法務はちゃんとウォッチする必要がありますね。

ということですでに発売されている2018年1月号を読まねばなりません。

ではでは。
 



  
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