企業法務マン迷走記2

 大船ならぬ「酔っぱらった船」に乗ったかのような企業法務担当者の日常

書籍など


その道は長い ビジネス法務2018年5月号から

 ここのところ、業務に占める割合が高くなりつつある実態監査。
ガセのような情報もある一方、ボロボロと事実がこぼれ落ちてくる事案もあります。
 相応の準備をして当事者と相対し動機なり理由を尋ねても一筋縄ではいきません。涙をぽろぽろ流し反省を口にしても、提出してくる経緯書には先ほどの自分の弁明と矛盾した内容をつらつらと書いてくることがあります。「平気で嘘をつくことができる」人物といってよいのかわかりませんが、こちらもタフに応じていくのみであります。しかし、そういう人物を自社組織内で「生んでしまった」または「成長させてしまった」という点は真摯に受け止めるべきだと思い胃のあたりが重くなる日々。

 ビジネス法務2018年5月号特集「実践的コンプライアンスの要所をおさえる不正の心理」。
読みながら「ああ」と嘆息しながら頷いたのが以下の記事。
  • 「犯罪学理論にみる従業員不正の心理」公認不正会計士 山本真智子
 本稿Ⅱ「不正のトライアングル」で提唱されている【日本型不祥事のトライアングル】。確かに従来の「動機」「機会」「正当化」だけではうまく説明しきれないものが「無責任」「無知」「無思考」を加えるとすべてではないにせよ不正行為の対策がみえてくるかなと思いました。
そして同じくⅤ「企業風土から考える従業員不正」。
 文化(ここでは企業)に所属する個人は、周囲の人々の影響を受けて習慣・態度・価値観・行動などを習得(これを社会学習という)し、また、観察して得られた他人の行動・振る舞いをみずからにも取り入れていく
という社会学習論の説明は、思い当たる事案が脳内でいくつも点灯してしまいました。また不正行為とは少し違いますがパワハラを受けて育った管理職が下の世代にパワハラを働いてしまった事案を思い出しました。
 組織のなかでの成長段階で経験、あるいは見聞きしたことが不正行為に繋がっているのであれば、現在自分が相対するいくつかの事案の種は何年も前に蒔かれていたということになります。そこから育った幹や枝葉は今いったいどこで何をしているのか? 嫌な汗が出てきます。

 適切な教育や訓練を通じて改善していく余地は当然にあります。また些細な不正にも全力で立ち向かう姿勢をみせることも必要と思います。

 諸事情あっての属人的組織風土。風土を改めるその道は長い、しかし全速力で走っていけるのか。再び自問自答の時間に戻る。



 

契約の内容と印紙税 ビジネス法務2018年4月号から

 ようやく読めたビジネス法務4月号から。

 第2特集「法務部員のための印紙税トレーニング」
 某所で特集組みますよときいていたのですが、早速紙面に登場です。

 印紙税に関するあれこれは法務あるあるのひとつ、「印紙の要否」「印紙税の額」。法務にたらい回ってきますよね。冗談で心配なら200円分貼っておけばとは答えるもののそうもいかないので国税庁のHPや税理士に確認するなど、少し手間がかかります。問い合わせが来るということは現場に「印紙税」の存在が認識されているということの裏返しでもあるので、問い合わせには的確に応じないとねと特集記事を読んだ次第。
 記事は印紙税に関する25のQ&Aで構成されています。自分の日常業務に関わるのはQ4、Q14、Q16、Q18〜Q20、そしてQ25。再確認とあとは現場にいかにわかりやすく伝えるかという視点で読みました。
何かと締結する機会が多い「業務委託契約」、「製作物供給契約」についてはもう少し現場に落とし込まないとまずいかなと思いました。
 税務調査について。調査官の仕事は「一円でも多くの印紙税を徴収」ですから時に条文や通達の適用を拡大して指摘してくる可能性があります。納得できない、条文や通達の拡大適用では?と思うことはちゃんと意見を述べるべきですよ。ええ、本当に。(何かあった)

 連載記事「不動産業・建築業の債権法改正対応」
第3回目の今回は「建築業(その1)」。各論に入ってきました。大昔は建築現場を回っていた営業職でしたので記事中のⅠ、Ⅱに書かれていることは経験してきました。ただこれはゼネコンや住宅メーカーとの仕事では当てはまると思うのですが、それ以外ではどうかというのが実感。ゼネコン相手の営業から、一般工務店相手の営業に変わったときに「よくこういう取引でトラブルにならないよなあ」と思ったものですが、法務に異動してみたらやはりトラブルは発生していることがわかりました。
 契約内容とは何かといえば、請負契約書や約款のみでなく建築主、設計者、監理者、発注者が承認した仕様書、実施設計図、詳細図、下請負業者が作成提出した施工図、そして議事録記載内容。建築主から下請業者まで全て事業会社である場合は記事の通りなのですが、個人が発注主となる建築工事(戸建住宅やリフォーム工事)ではどうでしょうか。発注主がほとんど「契約の内容」の素人です。また業界特有の「数次にわたる流通」の各当事者がどれほど「契約の内容」を理解しているかというようなことを考えると、債権法改正云々以前の問題があるような気がしてならないのです。

 ここで印紙税の話に戻ります。
 建築現場の打ち合わせ等で施工図を元請と下請とで何回もやりとりしますが、最終的に両者で決定合意した図面。図面上に「承認欄」をもうけ、元請下請双方の「印鑑」を押すと税務当局に課税文書と判断されるケースがあります。請負契約の応諾書面に該当するということのようです。
 これは製造業で、納入業者(サプライヤー)からの納入仕様書や図面に購買部門や設計部門の「承認印」を捺印しても同様のようです。 
 仕様書や図面が「契約の内容」ということになるとますますこのような判断が下されるケースが増えると思います。
 契約書をデジタルにしてもまだいろいろありそうですよ。

 リンクを貼ろうと思いましたが密林で中古品3,200円とあったのでやめます。

  

拾い読み 「働き方」?「働かせ方」?改革について 

 投資ファンド傘下の急ごしらえ持株会社でIPOに取り組んでいたときのこと。企業再編の結果、複数の就業規則が並存している時期でした。主幹事証券からは、企業再編を行った企業ではよくあることでそのこと自体はリスクとはいえない、問題は管理職が自部門のメンバーがどの就業規則に則って業務に従事しているのか管理できているか、そちらがリスクだという指摘を受けました。(もちろん、就業規則統合の計画は必要)当時から7年近くの時間が経過していますが「働き方改革」で再び同じ課題に直面するのかと嘆息しています。

 ①てんこ盛りのビジネス法務2018年2月号のメイン特集「働き方改革法案要綱の全容を解く」
 ②少し前に発売のジュリスト#1513(2017年12月号)特集「働き方改革の実現に向けて」



 ①は経営側の法律事務所の弁護士の寄稿が目立つ(当然といえばそうか)一方、②は冒頭の鼎談は労働者側の弁護士が入ってのものですが、個人的には、日本を代表する小売・外食業、人材派遣業と労働組合の実務担当者による座談会記事「働き方改革と人事管理のこれから」を読み込みました。ジュリストを企業の人事労務担当者が読むかというと少し疑問ですし学生が読んでも今ひとつという気がするのですが、企業実務担当者が自社の取組の現状や課題などを明らかにされています。労務業務に関わっていない法務担当者でもわかりやすい内容ではないかと思います。
 キャッチフレーズに踊らされそうな「働き方改革」ではありますが、実際は人事、労務と重要な経営事項を見直しですから、この機にきちんと見直さないと採用はおろか人材の定着も危うくなるのではないかと思います。
 しかし「とはいえ」という部分がやはりあります。冒頭の話ではありませんが、現場を預かる管理職の管理業務がリスクを生む可能性があります。従業員の雇用契約態様や条件の確認、勤怠など現場管理職の管理業務を軽減する仕組みができていなければ整備しなければならないのでしょうが、例えば勤怠管理などの情報システムの投資は簡単なものではないので諸々余裕のない企業にとっては負荷がかかる「改革」になりますね。
 
 時間外労働については某所でも呟いたことがあるのですが単独の企業の取組だけでは限界があるように思います。需要家、発注者から最終の受注者まで業界の上流から下流まで一貫して取り組まないと結局、時間外労働の付け替えに過ぎなくなってしまいます。勤務先の場合、需要家・発注者が建設業界です。時間外労働上限規制に関して「適用猶予」がつく業界ですので、これに引きずられることを懸念しています。

 今のままで良いわけではないのですが、「改革」は痛みを伴うものと納得するよりないということでしょうかね。


 

 
 


拾い読み Business Law Journal 2018年2月号

 明けきりましたね。本年もよろしくお願い申し上げます。

 BLJの2月号といえば、恒例の「法務のためのブックガイド」。
「今年購読した書籍を持ち込んで座談会しませんか」ぐらいでスタートしたときいているのですが、続きますね。継続はなんとやらです。
 今年は、企業法務5名の覆面座談、弁護士4名、企業6社、研究者1名、ブロガー1名の構成。毎年、座談会のメンバーはあの人?という声がちらほらあるのですが、カット&ペーストの入った座談会記事ですから詮索はあまり意味ないかなという感じ。

 民法改正やらなんとかテック中心のチョイスかと一瞬思いましたが、やはり幅広い分野の書籍が挙げられていて毎年のことながら感嘆します。今年はいつも以上に購読・積読した書籍が選ばれていましたので、自分もようやく世間の企業法務に追いついてきたかと思ったりして。(甘い!)
 もっとも、座談は座談、書評は書評に過ぎず、自分と異なる評があって当たり前。読み手自身の能力・経験、身を置いている状況によって評価は変わるもの。ブックガイドはあくまで「そんな読み方もあるのか、できるのか」ということを知る「目安」なのですよね。
 自分の場合、「藁にもすがる」という感じで書籍を購入してきたところがあります。さすがに表紙買いはありませんが、「帯」「目次」「気になる項目の立ち読み」で勢いで買うというもの。法律書籍は単価が張るので外した場合の痛手は大きいことは確か。しかし「外した」といっても購入時点の己のレベルに起因することもあるかもしれないので時には読み返すよう心がけてはいます。
 積ん読プラス新刊で今年は何冊読めるかそのうち本当に身につけられるのはどのくらいなのか、老眼の進む眼球と記憶媒体の容量目減りの激しい脳みそが耐えられるでしょうか。

 「不祥事の解剖学」は「東芝不正会計事件と経営悪化」を5回に渡る特別連載。その1回目。
未だ同社が「不適切会計問題」としている事件を「不正会計」「極めて悪質な態様」とバッサリ斬りスタートしました。会計系の参考書と照らし合わせながら読み進めたいですね。

年明け取り急ぎ。思いついたらエントリー立てます。




とリンクを貼ったところで、中古価格がエライことになっていますね。


 

拾い読み ビジネス法務 2018年1月号

 東京といえども多摩地方は都内より気温が低いので冷えます。

 ビジ法2018年1月号は「法務組織・キャリアの在り方」。
リーガルテックやらインハウスローヤーやら情報が行き交うなか、ぼんやりと不安に陥る法務担当者の心を捉えるキャッチーな特集ですね。
 法学部出身かどうかは別にして入社以来法務畑を歩いている担当者を対象にした本文と、企業法務を志す学生・若者を対象にしたコラムで構成されています。
 西田弁護士の稿は「生涯法務」というのが前提。年齢的には「円熟期」手前、法務キャリアとしては「修行期」を抜け出したぐらいの年数、こなしてきた仕事は特殊な応用編中心のような自分は「はて、どうしたものか」と思います。何がどう評価されるのか見当がつきません。読んでいてかえって不安に陥りますね。
 一方でこんなことも。先日世間話をした転職エージェントは「若い人にキャリアパスの弊害がでてきて」とこぼしていました。「3年勤めて自分の目標と異なっていたので、とかここでは3年と決めていたので、と簡単にやめてしまうんですよ。どうみても転職できるような実績がついていないのに。」
 自分でよく考えましょうね、ということでこの記事はいいか。

 新連載の「契約が決算書に与える影響」
このあたりがビジ法本来の強みが出せる記事だと思いますね。連載中の「法務部員のための税務知識」と合わせ読むとよいでしょうね。
 今回は財務との連携ですが、個人的には通常の売買契約ではあまりありませんが特別な金額の支払い・受け取り(損害賠償金など)の場合は必ず財務に確認しますし、取締役会の付議事項でも場合によっては財務に先に確認し資料の見直しを行うこともあります。
もっともこれは監査法人による決算監査でけっこう苦しんだ経験からくるもので、得意げに話すものではありません。

 特集2「取引先・協力先中小企業の事業承継対策」
 数年前「会社法務AtoZ」で中小企業を対象にした事業承継を連載していましたが、今回は大手企業による、というもの。協力会社や下請事業者の経営難や後継難はちらほらと耳に入ってきています。むざむざと倒産、廃業させるわけにはいかないのですが、事業承継と優良な協力先企業の囲い込みは表裏一体、自社の経営だけで息が切れている企業では協力先の対策も後手に回り、その結果自社の経営難を招くだろうと寒気が襲ってきました。

 「自動運転社会の法制度設計」まで手が回りませんでした。いずれまた。 



 
 *このエントリーはポエムです。健康のため、ポエムの読みすぎには注意しましょう。

 
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