企業法務マン迷走記2

 大船ならぬ「酔っぱらった船」に乗ったかのような企業法務担当者の日常

雑感・備忘録


2日目のコンプライアンス教育 2018年版

 新入社員研修の季節がやってきました。今年も研修2日目にコマを割り当てられいって参りました、研修会場のある某関東の工場。今年は技術系の新入社員の比率が高かったのでどうしたものかと思ったのですが、結局従前のものとそれほど変えずに、時折挿入する小ネタに昨今の製造業の不祥事を取り上げる程度にしました。まだ実務に就いていないのですから文系、理系を意識する必要もないかと。

 研修や勉強会の講師を担当させられる法務担当者の方もいらっしゃると思います。人前で話すのはどうも苦手で、という方もいるでしょう。頼まれもしないのに教えたがるのは老化の兆しらしいですが、もはや初老の域なので気にせず少し研修講師について。

 多少、純粋に法務一筋の担当者と自分が違う経験をしてきたとすれば
  • 営業担当者教育の事務局として、1年半ぐらい週末は研修に帯同、当時研修を委託していたコンサルタントの人気講師の講義をずっと聴講していたこと
  • 上記と同時期、当時の所属企業の社内講師の資格を取って年に2回程度1泊2日コースの研修講師を担当していたこと
がありますが、何回講師をやっても「慣れる」「緊張しない」などということはありません。

 講義時間の枠は決まっていますので、時間厳守が大原則。途中までの展開がよくても時間切れで内容が尻切れトンボでは意味がありません。時間配分、話すテンポ・抑揚、挿入する小ネタの範囲など、いろいろ工夫が必要な箇所があります。社内講師の資格を取るときも、時間配分については厳しくチェックされました。
 講師・受講者の共通の敵は「眠気」。眠らせないための構成や手法(グループ討議の時間を設ける、適宜質問を当てるなど)ということも必要です。最近では新入社員研修のときは先にペーパーを配布することはやめています。特に講義が午後の時間帯の場合は、下を向かせるとまず睡魔に襲われていますからね。
 翌日は8割は忘れるという人間の記憶、間違いなく持って帰ってもらいたい2割をどのように伝えるか。
これらの工夫を支えるのはやはり「準備」なんですよね。
 講義用のノート作成に加えて、時計を睨みながらのロールプレイング。そこまではできないにしても、スライドやワードの原稿を見ながら夜中にぶつぶつ呟きながら加除修正の繰り返し。
それでも「セリフ」がとぶことがありますからね。「慣れ」はないのです。

 さて、新入社員に力を入れて伝えたのは、不祥事は誰もが起こすし巻き込まれるということ。
ニュースになった企業不祥事を起こした人はどういう人だと思いますか?と尋ねるとなかなかイメージできない様子をみせます。その人も最初はみなさんと同じ新入社員だったのですよというと多少表情が変わってきます。その先をどう繋げるかなのですが、そこはケースバイケース。

 講義から4日経過したけれどちゃんと憶えていてくれるかなあ。

 


定点観測 この先

 (一般的には)年度末の週末。まるまる企業で30年働いたことになります。

 転職はしなかったものの勤務先は幾度か姿を変え、自分も幾度か職種が変わりました。
勤務先は職種をまたぐ人事異動が少ないので、このような経歴を持つ自分は損得半々というところかなと思っています。損は形をもって現れていますが、得は無形で自分が「得」と勝手に思い込んでいるだけかもしれませんが。

 30年も組織にいればいろいろあります。
 法務異動前に自分が所属したり関わった業務のほとんどは姿を残していません。徒花のような仕事、ときの上司が考えた試験・実験的な試みの業務だったからなのかもしれません。結果として後が続かなかった事業というのは関係者がいなくなれば忘れ去られるだけで、「あれは結局ダメだったよな」という評価すら得られませんね。
 法務異動後のことはブログの中で時折取り上げてきましたが、今の時の流れからすればふた昔近く前のこと。登記簿謄本に残る下線部の大半は自分の業務なのだけども、こちらについてももはや語り合える相手がいません。現在の勤務先の状況を考えると「自ら組織再編」ということは考えにくいので、自分が巻き込まれたあれこれを引き継ぐことはないと思います。こちらも後が続かない仕事だったといえましょう。

 ま、これでよいのかもしれません。
 「昔はなんかいろいろあったみたいだけど今は!」という組織のほうが働いていて面白そうですしね。
自分とて「生き字引」的社員になるつもりもありませんが、どうしても蓄積された記憶や経験が邪魔くさくなります。
 
 30年一区切りでもよいのではないかと、丸い月を見ながら割と真剣に考える夜。
 

何をしてきたのだろう

 7年です。当事者では当然なく、何かできたわけでもないので静かに手をあわせるのみ。

 あの直後、BCPだのなんのと「ブーム」のようになりました。無論それは必要なことではあるのですが、防災体制、サプライチェーンをはじめ生産や物流拠点、事業の見直しまで。コンサルからの営業が増え、会社あてに中部以西の自治体からやたらと地元工業団地への移転誘致のパンフレットが送られてきました。
 災害時にいかに事業を速やかに再開するか、具体的な計画や手順が構築しているか。その数年後の雪害の際に震災を契機に不可抗力免責のハードルが上がっていますよと指摘されたこともありました。

 しかし製造業についてのここ数年の様子をみてみると会計や品質管理など、災害とはまったく次元の違う問題で経営の根幹が揺らぎ、信用を失っています。BCPなどしっかり整備しているであろう企業ばかりです。「事業継続」とはなんぞや。

 いや、他所様のことをあれこれいえる立場にありません。

 本当に何をしてきたのだろうと自問するばかりであります。


 

ブランド戦略の目線

 15年ぶりにかかってしまいましたインフルエンザ(B型)。先月最終週から今週初めまでいつにもまして使い物にならない状態。なので、リハビリのようなエントリ。

 過日、自家用車の車検でディーラー・工場に出向いたのですが、店舗の展示車のラインナップに変化がありました。最近自動車雑誌を読む機会がないので自分が知らなかっただけなのかもしれませんが、なんでも本国本社からプレミアムブランド車とそうでない車とで販売店舗と整備工場を分けるように指令があったとのこと。今後専用店舗・工場体制を作らない限りプレミアムブランド車は取り扱わせないという強い姿勢。これに従っておかないと過去販売したプレミアムブランド車の整備すらできなくなるので、「オーナーのことを考えるとやらざるを得ないが、店舗敷地の確保やエンジニアの雇用で経費がかさむ」と、工場の担当者はぼやいていました。 

 プレミアム路線といえばよいのか「中高級」路線といえばよいのか、自社の商品やサービスの質と単価を上げるという施策はかつて勤務先でも試みました。しかし「自社がありたい姿」と取引先やユーザーからの評価や期待との間に大きなギャップがあり、結局成果をえることができずに終わりました。短期間でブランドイメージを上げるための覚悟も経験も実力も不足していたといえましょう。同業者の「ブランド」を支えてきたものを見聞きする機会があったのですが、パワポでぺらぺらと仕上げられた「ブランド戦略」に乗っかっただけの底の浅さを思い知らされました。

 冒頭のプレミアムブランド車については、もともと「プレミアム」だったのですが、紆余曲折があり一時は風前の灯火のような存在でした。苦難に満ちた時期とようやくブランド復活を迎えた時期の車種と2台続けて乗っていたことがありますが、前者と後者では本当に製品としての「差」が歴然としていて驚いたことがあります。最近は再びパッとしない存在になりつつありましたが、自動車業界の合従連合の流れの中で「昔のブランドをもう一度」となったのかもしれません。性急な販売・整備網の変更にオーナーや肝心のディーラーがついていけるのか、かつてのオーナーとしては心配なところです。
ユーザーやファンがあってのブランド、と当たり前のことが難しいのですよね。

 それでは。次回はなんとか法務ネタに。

 

きっかけの記憶

 阪神の震災から23年。あれからそうかと本日の業界団体の会合でも話題になりました。

 その日、朝出勤直前に観たTVニュースではまだ情報が集まっておらず被害の状況はかろうじて火災が発生していることぐらいだったでしょうか。
 今と違いウェブサイトでニュース動画が流れる時代ではありません。当時、新聞各社が開設していたのはニュースダイヤル。そこに何分かおきにダイヤルすると、そのたびに被害の状況が拡大していることが伝えられました。
 そうこうしているうちに、事業部門トップが秘書に命じて関西方面のホテルの空室をかたっぱしから押さえ始めていました。家を失った従業員や家族、関係者の住まいの確保のためでした。当日の記憶として一番残っているのはこのことです。

 震災仮設住宅での高齢者の病気や死亡がニュースになりました。
 震災復興住宅(集合住宅)が、確か一般の住宅設計や住宅設備の高齢者配慮、バリアフリー化を推し進める契機になったように覚えています。

 阪神以後、災害発生時の仮設住宅の資材の確保を目的に行政や住宅団体が建材・設備メーカーなどの生産地、生産量の調査を始め、メーカー団体も仮設住宅対応の体制を整えました。のちの奥尻島や中越地震のときにこれらが機能しました。

 今では当たり前のようになっていることの中には、23年前の今日起きたことを始まりとしているものもある。このことをきちんと記憶しておこう、と思った次第。

 合掌。

 
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