雑感・備忘録

2021年04月25日 17:46

 過日、新入社員研修の講義を行った。昨年同様オンラインによるもので、正味105分ほど。

 考えてみれば今年の新入社員は就活の会社説明会も、エントリー後の面接もほとんどオンライン。
入社してみても座学中心の研修はオンライン、とコロナ禍が生んだ状況といえども充実感・満足感を得られているのか、心配なところである。しかしコロナ禍が終息したとしても、これがノーマルになっていくと思う。会社側はオンラインでも魅力のある会社説明会を運営し、講師と研修カリキュラムにはオンライン用のコンテンツ作り込みが要求される、ということだろう。
 今年の新人研修はもともと2年ぶりのリアル開催の予定だったが、感染予防の見地から急遽オンライン方式に切り替えたものである。それでも、開催地については充分考慮して入社式と工場見学はリアル開催・実施できたのは良かったと思う。
 入社したての、まだ見習い業務すら始まっていない社員にコンプライアンス研修を実施するのは、「最初が肝心」というものの、毎年戸惑う。首根っこを押さえてでも研修を受けさせたいのは、新入社員ではなく彼・彼女らの先輩や上司になる連中なのだが。

 講師から見たここ数年間のわずかな変化といえば、企業のコンプライアンスについての情報や知識を幾らかでも持っている新入社員が増えてきたということだろうか。学校で習ったのか、あるいは就活の「企業の選び方」の過程で得たものなのだろうか。これがリアル研修であれば脱線混じりに話ができるのだが、次回は少し踏み込んだ話から始めることもできるかもしれない。

 講義の力点は、「不祥事の当事者」にしている。
いくつかの企業不祥事の事例を簡単に説明した後に、不祥事を起こした当事者は今日ここにいる皆と同じに学校を卒業して、入社し新人研修を受けて、そして会社の中で仕事をしてきた普通の人間であること。最初から悪事を働こうとしていたわけではない。自分のミスをごまかす、取引先や上司(会社)に頼まれ、あるいは強いられたケースが多い。だから皆も不祥事に起こし、巻き込まれる可能性があるということ。そうならないためにも、まず新人のうちに仕事や周辺知識をしっかり身につけること。わからないことはそのままにせず教えてもらうこと。新人の特権「教えてください」はフルに使うこと。そして職場でおかしなことがあったら、と内部通報制度の説明を説明する。
 これでよいのか毎年悩むのだが、今はすぐ腑に落ちなくてもこの先仕事をしていくなかで脳のどこかに置いてもらえればいいと思っている。

 それにしても今後新人研修講師を担当するとしても、あとわずか数回かと苦笑い。
 


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2021年04月03日 18:16

 やや遅れたものの定点観測エントリー。

 社会人になってから何年と数えるよりも、現役でいられる年月を数えるほうが比べようもなく簡単になってしまった。
 
 昨年夏に自分の管掌業務から「法務」の文字を外し、法務業務の「決裁ルート」にも入らないようにした。 いわゆる3rdディフェンスラインから法務やコンプライアンスといった業務をみる…「評価」というのか「保証」といえばよいのか、とにかく「ビジネスの真っ只中の人」ではなくなっているはずなのだが果たして?というような年度後半であった。

「着いた処が行った処」とたいした職業観も持たずに、その時々で面白い仕事ができればよい程度に考えていた人間なので、企業法務の仕事が「面白かったか」だが、振り返ってみても「そのとき、そこにいた」という巡り合わせの妙としかいいようがない。もし勤務先の法務部門の人材層が厚ければ、そもそも自分が法務に異動することはなかったと思うし、異動が3年後だったら今の自分があったかどうかわからない。
 ただ、「そこにいる」以上、「そこ」の仕事ができるようにならなければならない。営業現場から事業企画部門に異動した時も法務異動の時も、「やっぱり他部門からの異動ではだめだね」といわれるのは癪なので、一応(はったりでもあるが)「モノがいえるようにはなろう」と思っていた。それだけのことで、そうしたところに事案が重なった。会社としては一大事ではあったし、自分としても楽ではなかったがこの事案を喰って「モノがいえる立場になろう」と思っていたところもある。傲慢かもしれないが。

 コロナ禍を契機に、法務部門に限らず管理部門のカタチも変わりつつある。会計や経理業務と比べて電子化の遅れていた法務部門へのサービスも数年前とは比べものにならなくなったし、自分がビールを飲みながらエントリーを書いている今もたぶん休まず進歩を続けている。
シニアやベテランが味わってきた「しなくてもよい苦労」をなぞる必要はないし、シニアやベテランの業務の在り方も変えられると思う。その現場に当事者としていられないのは少し残念な気がしないでもない。

 何歳まで働くか、働けるかという話題は他人事ではないのだが、この年齢で過去の延長線ではない業務を担当するというのは楽ではないが刺激的である。そういう意味では「巡り合わせの妙」に恵まれているのかもしれない。
 
 ブログのタイトルに「法務」を入れたままにしてよいのかと迷うが、また結論先送り。

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2021年01月24日 17:52

 順不同で積読解消中。そのなかの書籍から。
 『企業不正の調査報告書を読む』(安岡孝司著 日経BP社)

 企業不正が発覚し報道される機会が増え、なんとなくその手の話題にある種「鈍く」なっている自分がいる。興味・関心がないということではない。以前は「え!あの企業ですらこんな話が!」という驚きを持って情報に接していたのだが、今はその「驚き」というよりも自社にも該当するような状況がないかを確認するようになってしまっている。

 著者はみずほ情報総研(旧富士総合研究所)で金融技術開発部長などを経てから、芝浦工大大学で工学マネジメント研究科の教授を務めていた方。弁護士、企業法務とはまた別の切口でリスクマネジメントを研究されている。
 本書は2部構成。第1部が「企業不正の事例分析」全7章を使って直近の29社の事例(!)とそれぞれの不正防止のチェックポイントを提示している。第2部が「不正防止のチェックポイント」。こちらも6章をたて、不正防止の考え方から(不正)調査報告書に対する提言まで言及している。
 しかし、なんといっても冒頭の「はじめに」からのジャブの効かせ方だろう。「はじめに」の終盤に「経済公害の悪循環」の見出しで不祥事企業がお約束のように立ち上げる「調査委員会」についてこのように記している。(本書5頁からの抜粋)

  • 調査業務を発注するのは経営者なので、経営者に不利な調査を頼むはずがない。
  • 社会的に問題なのは、経営者にすり寄った調査で済ませてくれる事務所が繁盛し、根本的な原因解明が行われない行われないことです。
  • 調査ビジネスには弁護士や会計士の資格が不要で、内容的な規制もないため、自由な競争状態です。
 第三者委員会ありきの風潮は感じるし、第三者委員会の仕事を受任しようとする事務所があってもおかしくないが、著者が士業の方でないため遠慮なくジャブを繰り出している。さらに、経営者に都合のよい調査報告書を書いたメンバーが、その後の改善委員会に名を連ねることについても手厳しい。このような事態を問題視し(いや、そもそも問題と思うが)、これが繰り返されると次の悪循環が生じると畳み掛けている。(同頁から抜粋)
  • 不正調査のために法律事務所を探す
  • 経営者に甘い法律事務所が増殖する
  • 信頼回復に本気で取り組まない法律事務所が増殖する
  • 不正が再発する

さらに
  • 調査発注者の責任は調査されない
という「調査発注者免責の法則」と呼び、調査報告書について経営責任まで調査していても優れた報告書とはいえない、発注者の不利なところまで調査したものが優れた調査報告書であるとしている。
 著者のこの「はじめに」に呼応しているのが第2部の第11章「調査報告のチェックポイント」第12章「調査報告書への監視と盲点」である。調査を受任する可能性のある弁護士では書きにくいことをさらりと書いていると感じた。

 本書の意図を本当に理解するには、第1部の不正事例に挙がった企業の調査報告書に目を通す必要がある。なかにはテキスト検索やマーキングできない方法での報告書もあるようだが、そういうこと(企業の姿勢)も含めての調査報告書という視点を持つことも必要なのだろう。

 それにしても「調査発注者免責の法則」であるなら、経営トップや取締役会をレポートラインにもつ内部監査部門の監査とは?という問いにも繋がる。これはこれで(今はこれ以上書く力量がない)











 

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2021年01月17日 11:24

 年明けの週末から在宅勤務(1回/週のみ出勤)となった。
 昨年から部門によって在宅勤務に移行していたが、緊急事態宣言下でいよいよ居住地・通勤コースが要因となって在宅勤務となった。昨年から在宅勤務を始めた方々からみれば、周回遅れもいいところである。元々在宅勤務制度が確立していた企業を別にすれば昨年来のコロナ禍を契機に導入した企業が多いと思うが、それにしても1年近い時間差があるのだから、在宅勤務のメリット/デメリットを体験するのはこれからとなる。(嗚呼)

  もっとも業務の点では、昨年から感染防止の名目(コロナ禍によるトップライン減に耐えるためのコスト抑制という側面も当然ある)での出張制限により実査を伴う業務は一時停止状態にあるので大きく変わるものではない。それでも首都圏・関東近辺であれば注意しながら日帰り移動していたのだが、在宅化と移動制限でそれすらできなくなったのは何かと不都合である。

  メールやWeb会議で業務連絡や会議を開催することはできる。契約書・報告書をはじめとする文書作成、精査・修正といった業務は滞ることなく処理できるが、例えば監査業務のうち事業所長の面談や棚卸実査などを全てリモートに移行できるかといえば、(勤務先の)現状ではまだ難しいと思う。 
 今は雑音の少ない環境で旧版のままとなっている規程や基準の改定作業やスタッフとの勉強会資料の作成に専念しているが、今後何がどうなることやらで。

 私生活の点でいえば、通勤しないことによる運動不足が課題である。通勤の場合は平均で1万歩/日程度歩いていた。日々のルーティンを崩さないという意味で、朝始業前と夕方終業後に原始的であるがほぼ同距離を歩いている。何をやっているやらという気がするが、小さなことでも続けられることは続けておこうということから。

 それにしても、メリハリをつけるのが地味にきつい。

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2020年12月31日 23:04

 季節感というものを喪失した2020年があとわずかで終わる。
それでもかのウイルスに感染もせず、職を失うこともなく終えることができた。首都圏の感染状況を考えれば、「幸運」であったと胸を撫で下ろすばかりだ。明日から始まる来年のことはまた別だが。

 コロナ禍の状況下で「withコロナ」「ニューノーマル」という言葉が踊った。仮にこの災禍が終息したとしても2020年以前と同じ社会には戻らないし、戻れないという認識ではいる。しかし今日のニュース(東京都の感染者数)に接すると先の2つのフレーズは「軽く」感じられてならない。今年の春先はここまで深刻な状況になるとは考えていなかったかもしれないし、意図するところは間違いではない。それでも医療従事の方の現実や、災禍の影響で失職したり長年の商いをたたむ事になった人たちがいることを考えると、「ニューノーマル」の一言でなんでも肯定してしまうのは尚早ではないかと思う。

 仕事の話でいえば、出張制限がかかり監査実査に支障が生じたほか、もらい事故のような小さな訴訟は現地の代理人に一任せざるを得なかった。多分来年以降も「現地で対面」といった業務は困難を伴うだろう。アラカンの身に鞭うってDXに本気で向かい合わなければならないかもしれない。(それはそれで面白いかもしれないが)
 ビジネス環境が一変すれば企業ガバナンスのあり方も変わるだろうし、予防法務や内部監査といったディフェンスラインに求められる役割も当然変わる。来年以降が本当に試される時期と勝手に思っている。

 今年は夏から秋にかけてブログのエントリーが極端に減った。特に業務多忙だったわけではない。気力体力が不足してインプットの量が減っただけのことである。冬近くなってようやく気分が戻ってきたという感じであった。年を取る、ということをと感じざるを得なかった。「老い」はこうして少しずつ体に侵入してくるのかもしれない。

 年々乱雑になってくるこのブログを訪れていただいた方に御礼申し上げます。
 よい新年をお迎えください。

 



 

 

 
 

 
  
 


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